もし 世界が 白と黒でできていたら
ナナは白で 僕は黒だと思う
なぜと聞かれたら困るけど
ナナは白で 僕は黒だと思う
世界が 白と黒じゃなくて良かった。
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古の城があった場所で
しだれ桜は地を向いて咲いている
こんなに綺麗な桜が目指す先には
花より美しいものがあるに違いないと
顔を近づけた地面には
蟻が一匹
草の実を背負って懸命に歩いていた
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軒に吊るされた灯りは
規則正しく 端から順にともっていく
一つが欠けてもその場所は光らない
あんなにたくさんの灯りでも
一つ一つ それぞれの役割を持っている
赤い光がとても誇らしげに見えた
「あの灯りの一つになりたい」と言ったら
「じゃあその隣の灯りになるよ」とナナは言った。
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